テスト期間まではやけに長く感じるのに、テスト自体は呆気なく終わってしまう。
生徒会メンバーは無事全員がトップクラスをキープした。
「櫂李、ダントツ一位、すげーじゃん」
「ありがとうございます! 煌陽さん!! 先輩と堂々とお祭りデートしたくて張り切りました」
「そりゃ、いっぱいご褒美もらわねぇとな」
「デートがご褒美なんで!! それに、浴衣着てくれるって約束もしてますし」
浴衣の言葉に反応したのは凛だった。
「えっ、良いなぁ。僕も着たい」
「凛先輩、絶対似合いますよ。準備しておきましょうか?」
「おい、櫂李。そんな何人分もどうやって準備すんだよ」
調子に乗って言ってるのかと思って間に割って入った。
でも櫂李は飄々とした態度を崩さない。
「そうか。言ってなかったかもしれませんね。オレ、実家が呉服屋なんですよ。レンタルもやってますし」
「……へぇ。それは意外」
「なんですか、その反応はぁ!」
「呉服屋なんて落ち着いたイメージしかないから、櫂李と結びつかなかった」
「星凪先輩、言い方! じゃあみんなで試着しに行きます? 日帰り旅行くらいにはなりますけど」
「行きたい!!」凛がソッコーで手をあげ、隣で煌陽が頷く。
俺だけ、返事をし損ねた。
タイミングがいつも悪い。
みんなの視線が一斉に集まり、「行くって!!」声を張り上げて賛同した。
次の休日、早速A棟四人で櫂李の実家へと足を運んだ。
「みんなで電車に乗って出かけるなんて、本当に旅行みたいで楽しいね」
「テストが終わったのもあるし、遠出過ぎなくて気軽に行けるし、長閑だし、良いな」
「オレの地元、気に入ってもらえたら嬉しいです。郊外だから移動はちょっと面倒なんですけど、良い所ですよ」
駅を降りると、櫂李の案内で歩いていく。
商店街を抜けた近くに店があるそうだ。
「この商店街で買い食いしながら家に帰ってました。肉屋のコロッケが安くて大きくて美味しいんです」
地元を案内する櫂李は活き活きしている。
確かに田舎過ぎず人も賑わっていて、どこかノスタルジックでもある。
商店街の人も気さくに話しかけてくるし地域が一体化している雰囲気が心地いい。
「星凪先輩、オレの地元、気に入ってくれました?」
「あぁ、そうだな」
「本当ですか? やったー! いつでも来て良いですからね。あ、折角なんでコロッケ食べながら行きましょう」
肉屋に駆け寄り注文する。
子供の頃からの付き合いなだけあって、他人とは思えない距離感で店の店主と話している。
なんとなく、櫂李の人懐っこさとゼロ距離の理由が解った気がした。
コロッケは本当に美味しかった。レシピを教えて欲しいほどだ。
「お肉が煮込んだすじ肉なんですよ」
「そうなんだ。お肉の味が濃くて美味しい」
揚げたてで衣はサクサク。ジャガイモは食べた時に崩れないようしっとりと練ってある。牛乳か……少しのマヨネーズを入れているかもしれない。
食べながら味を見つけてしまうのは子供の頃からの癖だ。
美味しいほど、どんな調味料を使っているのかが気になってしまう。
これを食べられただけでも、今日来て良かったと思う。
無意識に無口になった俺に、櫂李はひたすら話しかけていたと後から聞いた。
浴衣はそれぞれが気に入ったものが見つかり、レンタルさせてもらう。
凛と煌陽はお互いに選び合っていた。
俺は大量のデザインの中からどれを選べばいいのか目移りしてしまい、最終的に櫂李に見立ててもらった。少し大人っぽい濃い色の浴衣を櫂李が選ぶとは思わなかった。でも自分でいうのも烏滸がましいが似合ってると思う。
何より、四人であれこれ試着して見せ合って過ごす時間が既に楽しい。
「いつも櫂李がお世話になってるから」
そう母親に押し切られ、好意で貸してもらえることになった。
「元々は俺が先輩に着て欲しい浴衣を持ってくる予定だったんで、お金のことは気にしないでください」
「でも、三人分なんて。くれぐれもお礼を言っておいてくれよ」
「了解です!! でも先輩が最終的にオレが選んだ浴衣に決めてくれて、お祭りの日が楽しみで仕方ありません。明日だったらいいのに」
「唐突すぎだろ。でも、気に入った。流石は呉服屋の息子だな」
「着付けもお任せください!」
「本当に、人は見かけに寄らないよな」
「そんなこと、しみじみ言わないで下さいよ」
「でも楽しかった。サンキューな、櫂李」
オレンジ色に染まった空の下を、四人で笑いながら歩く。
なんか今、凄く青春しているっぽくて顔がニヤけてしまう。
帰りの電車は櫂李に凭れて爆睡してしまった。
「お祭り、楽しみだな……」
声に出して言っているとは、俺だけ気付いていなかった。
生徒会メンバーは無事全員がトップクラスをキープした。
「櫂李、ダントツ一位、すげーじゃん」
「ありがとうございます! 煌陽さん!! 先輩と堂々とお祭りデートしたくて張り切りました」
「そりゃ、いっぱいご褒美もらわねぇとな」
「デートがご褒美なんで!! それに、浴衣着てくれるって約束もしてますし」
浴衣の言葉に反応したのは凛だった。
「えっ、良いなぁ。僕も着たい」
「凛先輩、絶対似合いますよ。準備しておきましょうか?」
「おい、櫂李。そんな何人分もどうやって準備すんだよ」
調子に乗って言ってるのかと思って間に割って入った。
でも櫂李は飄々とした態度を崩さない。
「そうか。言ってなかったかもしれませんね。オレ、実家が呉服屋なんですよ。レンタルもやってますし」
「……へぇ。それは意外」
「なんですか、その反応はぁ!」
「呉服屋なんて落ち着いたイメージしかないから、櫂李と結びつかなかった」
「星凪先輩、言い方! じゃあみんなで試着しに行きます? 日帰り旅行くらいにはなりますけど」
「行きたい!!」凛がソッコーで手をあげ、隣で煌陽が頷く。
俺だけ、返事をし損ねた。
タイミングがいつも悪い。
みんなの視線が一斉に集まり、「行くって!!」声を張り上げて賛同した。
次の休日、早速A棟四人で櫂李の実家へと足を運んだ。
「みんなで電車に乗って出かけるなんて、本当に旅行みたいで楽しいね」
「テストが終わったのもあるし、遠出過ぎなくて気軽に行けるし、長閑だし、良いな」
「オレの地元、気に入ってもらえたら嬉しいです。郊外だから移動はちょっと面倒なんですけど、良い所ですよ」
駅を降りると、櫂李の案内で歩いていく。
商店街を抜けた近くに店があるそうだ。
「この商店街で買い食いしながら家に帰ってました。肉屋のコロッケが安くて大きくて美味しいんです」
地元を案内する櫂李は活き活きしている。
確かに田舎過ぎず人も賑わっていて、どこかノスタルジックでもある。
商店街の人も気さくに話しかけてくるし地域が一体化している雰囲気が心地いい。
「星凪先輩、オレの地元、気に入ってくれました?」
「あぁ、そうだな」
「本当ですか? やったー! いつでも来て良いですからね。あ、折角なんでコロッケ食べながら行きましょう」
肉屋に駆け寄り注文する。
子供の頃からの付き合いなだけあって、他人とは思えない距離感で店の店主と話している。
なんとなく、櫂李の人懐っこさとゼロ距離の理由が解った気がした。
コロッケは本当に美味しかった。レシピを教えて欲しいほどだ。
「お肉が煮込んだすじ肉なんですよ」
「そうなんだ。お肉の味が濃くて美味しい」
揚げたてで衣はサクサク。ジャガイモは食べた時に崩れないようしっとりと練ってある。牛乳か……少しのマヨネーズを入れているかもしれない。
食べながら味を見つけてしまうのは子供の頃からの癖だ。
美味しいほど、どんな調味料を使っているのかが気になってしまう。
これを食べられただけでも、今日来て良かったと思う。
無意識に無口になった俺に、櫂李はひたすら話しかけていたと後から聞いた。
浴衣はそれぞれが気に入ったものが見つかり、レンタルさせてもらう。
凛と煌陽はお互いに選び合っていた。
俺は大量のデザインの中からどれを選べばいいのか目移りしてしまい、最終的に櫂李に見立ててもらった。少し大人っぽい濃い色の浴衣を櫂李が選ぶとは思わなかった。でも自分でいうのも烏滸がましいが似合ってると思う。
何より、四人であれこれ試着して見せ合って過ごす時間が既に楽しい。
「いつも櫂李がお世話になってるから」
そう母親に押し切られ、好意で貸してもらえることになった。
「元々は俺が先輩に着て欲しい浴衣を持ってくる予定だったんで、お金のことは気にしないでください」
「でも、三人分なんて。くれぐれもお礼を言っておいてくれよ」
「了解です!! でも先輩が最終的にオレが選んだ浴衣に決めてくれて、お祭りの日が楽しみで仕方ありません。明日だったらいいのに」
「唐突すぎだろ。でも、気に入った。流石は呉服屋の息子だな」
「着付けもお任せください!」
「本当に、人は見かけに寄らないよな」
「そんなこと、しみじみ言わないで下さいよ」
「でも楽しかった。サンキューな、櫂李」
オレンジ色に染まった空の下を、四人で笑いながら歩く。
なんか今、凄く青春しているっぽくて顔がニヤけてしまう。
帰りの電車は櫂李に凭れて爆睡してしまった。
「お祭り、楽しみだな……」
声に出して言っているとは、俺だけ気付いていなかった。



