- ランクイン履歴
-
総合43位(2025/10/10)
異世界(総合)15位(2025/10/06)
ファンタジー15位(2025/10/06)
異世界(スローライフ)7位(2025/10/20)
異世界ファンタジー
完
しげみちみり/著

- 作品番号
- 1762331
- 最終更新
- 2025/10/09
- 総文字数
- 142,127
- ページ数
- 2ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 165
- ランクイン履歴
-
総合43位(2025/10/10)
異世界(総合)15位(2025/10/06)
ファンタジー15位(2025/10/06)
異世界(スローライフ)7位(2025/10/20)
殴らない回復術師は役立たず——そんな言葉で追放された。剣も派手な魔法もない。私に残ったのは、薬草の知識と土の匂いだけ。
辺境の荒れ地に小さな畑を拓き、ミントとセージ、アザミを植える。風が変わる。最初の客は、迷子の旅人。切り傷に塗った軟膏がよく効いたらしい。二人目は、眠れぬ商人。カモミールの茶で眠り、笑って帰った。
噂は“効能”を連れてくる。いつしか畑の脇に石が積まれ、祈りの言葉が刻まれた。私は神官ではない。でも、生活には“回復”が要る。だから私は、寝床を増やし、簡易診療を整え、旅人に仕事を分けた。
畑は市場になり、通りは巡礼路へ。商人は香草を仕入れ、吟遊詩人は“土の聖歌”を歌う。神殿が手を伸ばしてきたとき、私は笑って断った。「ここは畑です。神殿ではなく、台所と寝床の延長です」
やがて勇者たちも訪れる。彼らの目に映る私は、戦わない、でも世界を“軽くする”術師。ざまぁは叫んで得るものでなく、静かに機能するものでいい。畑は今日も、誰かの心拍をゆっくりにする。
辺境の荒れ地に小さな畑を拓き、ミントとセージ、アザミを植える。風が変わる。最初の客は、迷子の旅人。切り傷に塗った軟膏がよく効いたらしい。二人目は、眠れぬ商人。カモミールの茶で眠り、笑って帰った。
噂は“効能”を連れてくる。いつしか畑の脇に石が積まれ、祈りの言葉が刻まれた。私は神官ではない。でも、生活には“回復”が要る。だから私は、寝床を増やし、簡易診療を整え、旅人に仕事を分けた。
畑は市場になり、通りは巡礼路へ。商人は香草を仕入れ、吟遊詩人は“土の聖歌”を歌う。神殿が手を伸ばしてきたとき、私は笑って断った。「ここは畑です。神殿ではなく、台所と寝床の延長です」
やがて勇者たちも訪れる。彼らの目に映る私は、戦わない、でも世界を“軽くする”術師。ざまぁは叫んで得るものでなく、静かに機能するものでいい。畑は今日も、誰かの心拍をゆっくりにする。
- あらすじ
- 勇者パーティを追放された回復術師が、辺境で薬草畑を耕しただけ——のはずが、傷が治る、心が軽い、空気がやさしいと噂が走り、いつしか人々は“巡礼”を始める。神官も商人も旅人も。畑は聖地になり、テントは宿になり、彼は“院長”と呼ばれた。癒しと生活で世界を変える物語。
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