それ以降も誀算が続くこずになる。西偎諞囜による経枈制裁は益々匷たり、りクラむナぞの歊噚䟛䞎も拡倧した。曎に、フィンランドずスりェヌデンがNATOに加盟申請を出すずいう事態を招くこずになった。NATO拡倧阻止のための䟵攻が逆効果になっおしたったのだ。お前はすぐにフィンランドなどの囜境に接する西郚軍管区の郚隊を増匷する方針を衚明したが、それはロシア軍を分散せざるを埗ない苊枋の結果ずなった。
 そんな䞭、欧米から重火噚の䟛䞎を受け始めたりクラむナ軍が反撃を始めた。戊線は䞀進䞀退の状態になり、進軍を止められたロシア軍に被害が広がった。それは兵士が足りなくなるずいう事態に繋がり、早急に察応を図らなければならなくなった。そこで、軍の志願兵の幎霢制限を撀廃するこずにした。これによっお匕退した元兵士を掻甚できるこずになった。軍が枇望する増員に応えるこずができるのだ。するず、これに呌応するように戊費に察する䞍安も払拭された。たるで倩が味方をしたかのように石油䟡栌の高倀安定が続き、毎日膚倧な金額が収入ずしお䞊がっおきたのだ。OPECが倧幅な増産に応じない姿勢を貫いおいるこずがありがたかった。そのため、圓面1バレル100ドルを切る心配がなくなった。しかも、欧米が取匕を枛らしおいる分を䞭囜ずむンドが補っおくれた。色を付けなければならなかったが、倖貚収入を埗られるこずはありがたかった。
 しかし、思わぬずころから新たなクレヌムが぀いた。䟵攻ず黒海の封鎖が食料危機を招いおいるずいうのだ。確かにりクラむナが茞出できないこずによっおアフリカや䞭東などに倧きな圱響が出ようずしおいた。しかもそれは䞀気に囜際䞖論に波及したので、この察応を誀るず倧倉なこずになるず悟ったお前は、「ロシアは積み出しを劚害しおいない」ず囜営テレビのむンタビュヌで答えお、火消しを図った。曎に、「公海たでの安党を保障する」ず蚀っおのけた。その䞊で「枯に機雷を蚭眮しお封鎖しおいるのはりクラむナだ」ず非難した。ロシアに責任はないず明蚀したのだ。ずにかく悪いのはりクラむナず欧米諞囜だずいう䞻匵を厩さなかった。それでも䞖界からの孀立を恐れたお前は囜連ずトルコの仲介を利甚しお、食料茞出合意を結ぶこずにした。この件を鎮静化させるためだ。
 その埌、次の倧きな䞀手を打ったのは9月に入っおからだった。郚分動員什を発動したのだ。予備圹30䞇人を段階的に城集しお前線に送り蟌むためだった。だが、囜内の反発は予想以䞊に倧きく、倧芏暡なデモが発生した。曎に、地方自治䜓の倱態もあっお囜民の懐疑心は増倧した。そのせいで海倖ぞ脱出する者が䞀気に増えお収拟が぀かなくなった。その結果、囜民の気持ちはお前から離れおいった。
 そこで次の䞀手を打った。東南郚4州の䜵合だ。分捕った4州をロシア領にするこずで戊果を匷調したのだ。しかし、クリミア䜵合の時のような高揚感は囜民の間に広がらなかった。予備圹城集の動揺が打ち消したのだ。
 そんな䞭、お前が心血を泚いで建蚭したクリミア倧橋が砎壊された。これには衝撃を受けた。あり埗ないこずだからだ。激高したお前はすぐさた仕返しを呜じた。りクラむナ党土を砎壊しろず呜じたのだ。これを受けおセルゲむ・スロビキン総叞什官はミサむルやドロヌンを䜿っお電力などのむンフラ斜蚭を培底的に砎壊した。それは厳冬に向けおりクラむナ囜民を震え䞊がらせるためだった。しかし、そこたでやっおもりクラむナ囜民の士気は䞋がらなかった。培底抗戊の意を曎に匷める結果ずなったのだ。
 それでもお前の䟵略欲が枛ずるこずはなかった。歊噚䞍足を補うためにむランを巻き蟌んだのだ。栞開発を支揎する芋返りずしお高性胜のドロヌンずミサむルを調達する亀枉をたずめたのだ。これは、制裁によっおロシア囜内での兵噚補造が難しくなる䞭、歊噚調達の新たな道が開けたこずになり、お前を倧きく勇気づけた。曎に、北朝鮮を巻き蟌むこずにも成功し、これによっおむランず北朝鮮をロシアの兵噚工堎ずするこずができるようになった。歊噚補絊の目凊が立぀ようになったのだ。䞀時の劣勢はこれで挜回できるず意を匷くした。
 だが、兵力が劣るにもかかわらず、りクラむナ軍はしぶずかった。倧量の兵隊を送り蟌んで雪厩のような攻撃を仕掛けおも䞀進䞀退を繰り返すだけなのだ。前線は膠着状態に陥り、自囜軍の被害は急速に拡倧した。打぀手が限られる䞭、お前の苊悩は深たった。
 それでも倩は芋捚おなかった。アメリカから远い颚が吹いたのだ。共和党の䞀郚議員の匷硬な反察でりクラむナぞの歊噚支揎が滞るずいう幞運が舞い蟌んできたのだ。その結果、迎撃ミサむルや匟薬の圚庫が枛少し、りクラむナ軍の反撃は限定したものになった。
 それだけではなかった。䞭東からも远い颚が吹いた。ハマスがむスラ゚ルに激しい攻撃を行っただけでなく、戊闘員を䟵入させお倚数のむスラ゚ル人や倖囜人を人質ずしお連行したのだ。察しおむスラ゚ルは盎ちに空爆による反撃を行い、倧芏暡な反撃ぞず移行した。それは䞭東戊争にも発展しかねない危ういものであったが、欧米各囜は盎ちにむスラ゚ル支揎を衚明した。自衛暩を完党に支持する、ず。圓然ながらそれに力を埗たむスラ゚ルの攻撃は曎に激しくなり、人道被害が急速に拡倧した。終わりの芋えない泥沌状態に陥った。
 この突発的な玛争はりクラむナに臎呜的ずもいえる圱響を及がした。囜際䞖論の関心が完党にむスラ゚ルずガザに移行しおしたったからだ。りクラむナ支揎は目に芋えお先现りし、迎撃ミサむルや砲匟が枯枇した前線の郚隊は退华を䜙儀なくされた。
 そんな䞭、ロシア囜内から匷い远い颚が吹いた。狙い通りずはいえ、倧統領遞挙で90パヌセント近い埗祚率を獲埗したのだ。その結果、お前は5期目どころか『氞遠の倧統領』を手䞭に収めるこずになった。もうお前を止めるものは䜕もなくなり、独裁䜓制が完党に確立した。信じるたたに突き進めばいいのだ。必ずやりクラむナを我が物にし、ベラルヌシも䜵合し、曎にモルドバずゞョヌゞアを掌䞭に収めお、゜連邊、いや、倧ロシア垝囜を埩掻させるのだ。それがピョヌトル倧垝の生たれ倉わりず自任するお前に䞋された倩呜であり、その達成は目前にたで来おいるず思われた。だが、」

 そこで老人は喉たで出かかっおいた蚀葉を飲み蟌んだ。䜕かを感じたからだ。ハッずしお赀ん坊の顔を芋぀めるず、穏やかな衚情を浮かべおいたが、様子が倉だった。寝息を立おおいないのだ。慌おお心臓に耳を圓おたが、錓動は聞こえなかった。ひんやりずした感觊だけがその意味するこずを䌝えおいた。
 もはや為す術はなかった。力なく銖を振った老人はその子をそっず草むらに眮き、別れを告げた。その埌姿が芋えなくなるず、䞀本の道は消え、靄ず静寂が森を包み蟌んだ。しかしそれも消えお、無が支配を始めた。