「いえ、まだご結婚はされていないみたいです。ご婚約されているだけですよ」
「ソフィア。念のため言っておくが、アムールのことはアルって呼ぶようにしろ」
サファイアはそう言うと、少し呆れたように目を細めた。
な、なぜ?
疑問に思ったものの、そういえばブラッドさんもサファイアも、エルさんも、アムールさんのことを「アル」と呼んでいた。
ただ一人、レーツェルさんだけは「アムール様」と呼んでいた。
何か深い理由でもあるのかな?
「あいつ、自分の名前が女っぽいのを気にしててな。『アル』って呼ぶように言ってくるんだ」
「でも、レーツェルさんだけは『アムール様』って呼んでいますよね?」
「それは、アルにとって特別な呼び方なのですよ。わたくしたちには許してくれない、レーツェルちゃんだけに許された呼び方です」
そう言って、エルさんは二人の関係を慈しむように微笑んだ。その隣では、サファイアもまた、優しい笑みを浮かべていた。
二人はそれ以上、何も語らなかった。
けれど、エルさん、サファイア、アル、レーツェルさんの四人が、特別な絆で結ばれているのだと実感した。
それは、長い間ともに旅をしてきた仲間同士の絆とは、また違うもの。もっと深く、特別な何かがあるように思えた。
「これ以上、お二人の関係について話してしまうと、アルに怒られてしまいますね」
「別にいいだろ? 今さら隠すようなことでもない。それで、お前が考えているあの二人の結婚式だけど、何かプランでもあるのか?」
「もちろんです。すでに百通りのプランをご用意しております」
「ひゃ、百……?」
思わず苦笑してしまった。
やっぱり、ここでもエルさんの行動力は健在らしい。
サファイアも同じことを思ったのか、少し顔を引きつらせていた。
「もちろん、お二人には内緒です。式を挙げるのも、お二人のご希望どおり、皆さんが揃ってからと決めております。アルの故郷であるローズマダー村と、聖国ロータシアの結婚式の様式を組み合わせたものを考えているのですよ」
エルさんはそう言いながら、カレンたちと合流するまでの間、いくつものプランを話してくれた。
プランについて語るエルさんはとても生き生きとしていて、まるで周囲に花が咲いているかのようだった。二人が着る衣装まで、すでに決めているらしい。
その隣では、サファイアが遠い目をして話を聞いていた。
「まさか……私のときも、こうなるのか?」
ぽつりと呟いたサファイアの言葉を、エルさんが聞き逃すはずもなかった。
「当然です!」
エルさんは、きっぱりと言い切った。
「お~い! 遅いぞ、ソフィア!」
屋敷の入口では、アレス、カレン、ロキの三人が、すでに私を待っていてくれた。
三人の姿を見つけた私は、エルさんとサファイアに別れを告げ、みんなのもとへと駆け寄ったのだった。
☆ ☆ ☆
「……サファイアは、もっと素直になるべきです。コスモスさんがあれだけ『好きだ!』『愛してる!』『サファは世界一綺麗っす!』って、ほとんど毎日のように想いを伝えてくれていたのですから。その気持ちに応えるつもりはないのですか?」
「……」
エクレールの言葉に、私は黙り込んだ。
隣にいるエクレールは、そんな私をじっと見つめている。
あいつは……コスモスは、生まれて初めて、私に「好きだ」と言ってきたやつだった。
最初は、その気持ちが理解できなかった。頭がおかしいんじゃないかとすら思った。
なんで、よりにもよって私なんだ。
そう思ったこともあった。
「ソフィア。念のため言っておくが、アムールのことはアルって呼ぶようにしろ」
サファイアはそう言うと、少し呆れたように目を細めた。
な、なぜ?
疑問に思ったものの、そういえばブラッドさんもサファイアも、エルさんも、アムールさんのことを「アル」と呼んでいた。
ただ一人、レーツェルさんだけは「アムール様」と呼んでいた。
何か深い理由でもあるのかな?
「あいつ、自分の名前が女っぽいのを気にしててな。『アル』って呼ぶように言ってくるんだ」
「でも、レーツェルさんだけは『アムール様』って呼んでいますよね?」
「それは、アルにとって特別な呼び方なのですよ。わたくしたちには許してくれない、レーツェルちゃんだけに許された呼び方です」
そう言って、エルさんは二人の関係を慈しむように微笑んだ。その隣では、サファイアもまた、優しい笑みを浮かべていた。
二人はそれ以上、何も語らなかった。
けれど、エルさん、サファイア、アル、レーツェルさんの四人が、特別な絆で結ばれているのだと実感した。
それは、長い間ともに旅をしてきた仲間同士の絆とは、また違うもの。もっと深く、特別な何かがあるように思えた。
「これ以上、お二人の関係について話してしまうと、アルに怒られてしまいますね」
「別にいいだろ? 今さら隠すようなことでもない。それで、お前が考えているあの二人の結婚式だけど、何かプランでもあるのか?」
「もちろんです。すでに百通りのプランをご用意しております」
「ひゃ、百……?」
思わず苦笑してしまった。
やっぱり、ここでもエルさんの行動力は健在らしい。
サファイアも同じことを思ったのか、少し顔を引きつらせていた。
「もちろん、お二人には内緒です。式を挙げるのも、お二人のご希望どおり、皆さんが揃ってからと決めております。アルの故郷であるローズマダー村と、聖国ロータシアの結婚式の様式を組み合わせたものを考えているのですよ」
エルさんはそう言いながら、カレンたちと合流するまでの間、いくつものプランを話してくれた。
プランについて語るエルさんはとても生き生きとしていて、まるで周囲に花が咲いているかのようだった。二人が着る衣装まで、すでに決めているらしい。
その隣では、サファイアが遠い目をして話を聞いていた。
「まさか……私のときも、こうなるのか?」
ぽつりと呟いたサファイアの言葉を、エルさんが聞き逃すはずもなかった。
「当然です!」
エルさんは、きっぱりと言い切った。
「お~い! 遅いぞ、ソフィア!」
屋敷の入口では、アレス、カレン、ロキの三人が、すでに私を待っていてくれた。
三人の姿を見つけた私は、エルさんとサファイアに別れを告げ、みんなのもとへと駆け寄ったのだった。
☆ ☆ ☆
「……サファイアは、もっと素直になるべきです。コスモスさんがあれだけ『好きだ!』『愛してる!』『サファは世界一綺麗っす!』って、ほとんど毎日のように想いを伝えてくれていたのですから。その気持ちに応えるつもりはないのですか?」
「……」
エクレールの言葉に、私は黙り込んだ。
隣にいるエクレールは、そんな私をじっと見つめている。
あいつは……コスモスは、生まれて初めて、私に「好きだ」と言ってきたやつだった。
最初は、その気持ちが理解できなかった。頭がおかしいんじゃないかとすら思った。
なんで、よりにもよって私なんだ。
そう思ったこともあった。



