「お前たち、まだこんなところにいたのか?」
廊下の角を曲がってきたサファイアが、私たちの姿を見つけて歩み寄ってきた。
「あれ? サファイアも着替えたんですか?」
サファイアもエルさんと同じく、いつもの服装とは違う衣装を身に纏っていた。
サファイアは隣にいるエルさんをちらりと見やると、胸の前で腕を組んだ。
「こいつが渡してきたんだ。だから、仕方なく着替えただけだ」
「でも、サファイア。嬉しそうに受け取ってくれたじゃないですか?」
「……そんなわけないだろ?」
サファイアはそっぽを向き、ぼそりと呟いた。
その様子を見て、私は思わず頬を緩めた。どうやら、本当は嬉しかったらしい。
サファイアの新しい衣装は、以前の服装に通じる民族的な雰囲気を残しながらも、今の世界の服装を取り入れたデザインだった。
青と白を基調とした衣装は、動きやすさと実用性を重視している。頭には、氷国の伝統を思わせる模様が織り込まれた、深い青色のバンダナ。肩からは、白と青の幾何学模様が美しいポンチョが羽織られ、裾には細かな飾り布が揺れている。
腰には小物を収納できるポーチをいくつも備え、脚には動きやすいクロップ丈のパンツを合わせていた。足元は、青地に金色の装飾が映える、頑丈なサンダル風ブーツだ。
華やかさよりも実用性を大切にした、まさに旅人らしい装いだった。
「これもエーデルが用意してくれたんですか?」
私が尋ねると、サファイアは面倒くさそうに首を横に振った。
「いや、こいつが全部用意したんだとさ」
「えっ!」
思わず声を上げた私に、エルさんは嬉しそうに微笑んだ。
「はい。以前の世界で、サファイアに渡すと約束していたものなのです。けれど、あのときは約束を果たせないまま、お別れすることになってしまいましたから……。今度こそ渡したくて、用意したのですよ」
エルさんはそう言って、サファイアへと優しい眼差しを向けた。
「……だからって、別にこんなことしなくてもよかっただろ」
サファイアは顔を背けながら、小さく呟いた。
けれど、その声は先ほどよりも、ほんの少しだけ柔らかく聞こえた。
「ふふ、これはわたくしからのささやかな贈り物ですから。突き返されても、倍にしてお返ししますので、覚悟しておいてくださいね」
「お前が言うと、冗談に聞こえないんだよ。……まさか、アルたちの分も用意してるとか言わないよな?」
「はい! もちろん用意しておりますよ」
「はぁ……」
サファイアは呆れたように額に手を当て、深々と溜め息をついた。
「それに、わたくしはまだ諦めておりませんよ? アルとレーツェルちゃんの結婚式のこと」
「えっ?!」
アムールさんとレーツェルさんの結婚式?
私は、アムールさんやレーツェルさんと直接話をしたことはない。けれど、レーツェルさんが私の体を診てくれたことも、アレスたちを助けてくれたことも知っている。
魔剣やブラッドさんのことについても、彼女は詳しく話してくれた。
アムールさんとレーツェルさんは、確かに仲が良さそうだった。二人の関係は、ただの友人というわけではないのだろうと思っていたけれど……。
「もしかして、アムールさんとレーツェルさんは、もうご結婚されているんですか?」
私が二人に尋ねると、エルさんとサファイアは顔を見合わせたあと、そろって頷いた。
廊下の角を曲がってきたサファイアが、私たちの姿を見つけて歩み寄ってきた。
「あれ? サファイアも着替えたんですか?」
サファイアもエルさんと同じく、いつもの服装とは違う衣装を身に纏っていた。
サファイアは隣にいるエルさんをちらりと見やると、胸の前で腕を組んだ。
「こいつが渡してきたんだ。だから、仕方なく着替えただけだ」
「でも、サファイア。嬉しそうに受け取ってくれたじゃないですか?」
「……そんなわけないだろ?」
サファイアはそっぽを向き、ぼそりと呟いた。
その様子を見て、私は思わず頬を緩めた。どうやら、本当は嬉しかったらしい。
サファイアの新しい衣装は、以前の服装に通じる民族的な雰囲気を残しながらも、今の世界の服装を取り入れたデザインだった。
青と白を基調とした衣装は、動きやすさと実用性を重視している。頭には、氷国の伝統を思わせる模様が織り込まれた、深い青色のバンダナ。肩からは、白と青の幾何学模様が美しいポンチョが羽織られ、裾には細かな飾り布が揺れている。
腰には小物を収納できるポーチをいくつも備え、脚には動きやすいクロップ丈のパンツを合わせていた。足元は、青地に金色の装飾が映える、頑丈なサンダル風ブーツだ。
華やかさよりも実用性を大切にした、まさに旅人らしい装いだった。
「これもエーデルが用意してくれたんですか?」
私が尋ねると、サファイアは面倒くさそうに首を横に振った。
「いや、こいつが全部用意したんだとさ」
「えっ!」
思わず声を上げた私に、エルさんは嬉しそうに微笑んだ。
「はい。以前の世界で、サファイアに渡すと約束していたものなのです。けれど、あのときは約束を果たせないまま、お別れすることになってしまいましたから……。今度こそ渡したくて、用意したのですよ」
エルさんはそう言って、サファイアへと優しい眼差しを向けた。
「……だからって、別にこんなことしなくてもよかっただろ」
サファイアは顔を背けながら、小さく呟いた。
けれど、その声は先ほどよりも、ほんの少しだけ柔らかく聞こえた。
「ふふ、これはわたくしからのささやかな贈り物ですから。突き返されても、倍にしてお返ししますので、覚悟しておいてくださいね」
「お前が言うと、冗談に聞こえないんだよ。……まさか、アルたちの分も用意してるとか言わないよな?」
「はい! もちろん用意しておりますよ」
「はぁ……」
サファイアは呆れたように額に手を当て、深々と溜め息をついた。
「それに、わたくしはまだ諦めておりませんよ? アルとレーツェルちゃんの結婚式のこと」
「えっ?!」
アムールさんとレーツェルさんの結婚式?
私は、アムールさんやレーツェルさんと直接話をしたことはない。けれど、レーツェルさんが私の体を診てくれたことも、アレスたちを助けてくれたことも知っている。
魔剣やブラッドさんのことについても、彼女は詳しく話してくれた。
アムールさんとレーツェルさんは、確かに仲が良さそうだった。二人の関係は、ただの友人というわけではないのだろうと思っていたけれど……。
「もしかして、アムールさんとレーツェルさんは、もうご結婚されているんですか?」
私が二人に尋ねると、エルさんとサファイアは顔を見合わせたあと、そろって頷いた。



