「よし! 準備はおっけい!」
ヴァリス・エテルニタスへ向かう前夜。私は自室でキャリーケースに荷物を詰め終えると、満足げに拳を握った。
父様から、特別に課外授業の一環として、一ヶ月半もの間ヴァリス・エテルニタスへ向かう許可をもらったのだ。
アレスから一緒に行こうと誘われた時、私はすごく嬉しかった。だからこそ、今日という日が来るのをずっと心待ちにしていた。
「エテルナの審判かぁ……。どんな人たちがいるんだろう?」
エテルナの審判のことは、幼い頃から知っていた。
魔道と剣戟を極めた者たちが集い、世界の頂点に立つ者を決める祭典。
父様からその話を聞かされた時、私もいつか参加してみたいと、漠然と思ったものだった。
エテルナの審判に参加するには、事前に受付を済ませる必要がある。参加者はいくつかのリーグに分かれて戦い、最後まで勝ち残った数名だけが本戦へと進むことができる。
カレンとロキの二人は、その実力を認められ、運営組織から直接招待されている。そのため、最初から本戦への参加が認められていた。
一方、私とアレスはリーグ戦を勝ち抜かなければ、本戦に参加することすらできない。
エテルナの審判には、世界各地から大勢の強者たちが集結する。中には、今まで見たこともない魔法や、想像もつかない戦い方をする人だっているはずだ。
私の表向きの目的は、魔人の力である共振を上手く引き出せるようになること。
エテルナの審判に参加すれば、そのための突破口が見つかるんじゃないか。そんな期待を抱いていた。
もちろん、本戦に参加できるなら、ぜひ挑戦してみたい。でも、今の私の実力では難しいだろうということも、冷静に理解していた。
だからこそ、私の本当の目的は別にある。
参加者たちの戦い方を観察し、そこから技術を学び取ること。そして、共振の力を上手く引き出すための突破口を見つけることだ。
キャリーケースを閉じた私は、窓の外に広がる星空を見上げた。
すると、先にベッドで眠っていたテトが目を覚まし、大きく伸びをした。
「ふっはぁ〜……。ソフィア、まだ起きていたの? 明日は早いんだから、もう寝なさい」
テトは眠たげに目をこすりながら、私を優しく諭した。
「うん、分かってるよ、テト」
私が返事をすると、テトはベッドから下り、閉じられたキャリーケースへと目を向けた。
「一ヶ月半の滞在だけど、学べることはたくさんあるはずよ。だから、しっかりと自分の力にしなさいね」
その言葉には、私への期待が込められていた。
「もちろんだよ、テト。一日でも早く魔人の力を使えるように頑張るから!」
私が力強く答えると、テトは満足そうに頷いた。



