1週間の有給休暇が終わろうとしていた。日付が変わったら仕事へ行かなければならないのはわかっていたが、気持ちの整理はまったくついていなかった。たった1週間でつくはずはなかった。いや、1か月後でも、1年後でもそれが変わるはずはなかった。
この1週間、一日中骨壺を抱きながら彼女に話しかけていた。それ以外に何をする気も起らなかった。ほとんど動かずじっとしていたが、それでもお腹がすくので、仕方なくカップラーメンやパンを口にしたが、まったく味がしなかった。ほんの少し食べては、残りを捨てた。台所のペダル式ダストボックスの中には生ごみを入れた袋が重なっていたが、収集日のことは頭から完全に消えていた。
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日付が変わっても仕事には戻れなかった。その後は毎朝会社に電話して、有給休暇を取り続けた。しかし、それにも限界がある。有給休暇はいつか使い終わる。
机の引き出しから便箋と封筒を出して、ボールペンを握った。ミミズのような文字しか書けなかったが、それでも書き直す気力はなく、そのまま便箋を折り畳んで、封筒の中に入れた。
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有給休暇を使い果たした翌日、久し振りに外出した。太陽がまぶしかった。足を引きずるようにして会社へ向かった。
無言で上司に封筒を渡した。中から便箋を出した彼は、〈一身上の都合〉という文字を目で追うと、すぐに「わかった」とだけ言って、席を立った。
引き止められることはなかった。引き継ぎさえ求められなかった。代わりはいくらでもいるし、自分の仕事は誰にでもできるのだ。私物をバックパックに詰め込んで出口へ向かったが、誰からも声をかけられなかった。可哀そうに、という視線だけを背中に感じながら会社をあとにした。



