えっ?
何?
つづく?
また?
慌てて手紙をめくると、白紙が現れた。
えっ?
ウソ、続いてないじゃないか。
まさかこれで終わり?
ウソでしょう?
そんなの止めてよ、
急いでその白紙をめくった。すると、ミミズの這ったような文字が目に飛び込んできた。
ほっとした。つづきがあった。
もう~、松山さん勘弁してよ。
これからという時に焦らすようなことをしないでよ。
こんなに興奮させといて〈つづく〉はないでしょう、
松山さんの顔を思い浮かべて思い切りパンチを見舞った。しかし、その顔は痛くもかゆくもないといった表情で、〈仕事に備えてそろそろ寝ろ〉と言っていた。
確かにそうだ。これ以上興奮したら寝るどころではなくなる。素直にアドバイスに従うことにした。
*
目が覚めたのは6時過ぎだった。熟睡していたらしく、疲れは完全に取れていた。起きて歯磨きをして、顔を洗ったあと、布団を畳もうかと思ったが、そのままにしておいた。仕事から戻ったらまた手紙の続きに没頭することになるからだ。間違いなく書かれているであろう松山さんと彼女のセックスシーンを想像すると興奮が蘇ってきたが、よしよしとなだめながらお湯を沸かし、カップラーメンの具だけ食べて、しっかりオシッコを絞り出して、早めに家を出た。10月が間近だというのに蒸し暑かった。深夜に備えてしっかり着込んでいたが、薄着にしておけばよかったと少し後悔した。
*
仕事中は手紙のことを頭から追い出した。妄想に支配されては仕事にならない。頭を無にして交通整理に没頭した。
仕事が終わって帰ろうとすると、監督に呼び止められた。またあの店に行こうというのだ。しかし、割り勘負けをすることが目に見えていたので、とっさに腹の調子が悪いからと言い訳をして、逃げるように現場をあとにした。
*
家の近くのラーメン屋に立ち寄って、生ビールと餃子と醤油ラーメンで腹を満たして家に急いだ。そして、靴や服を脱ぐのももどかしく、速攻でシャワーを浴び、歯磨きを済ませてから、パジャマに着替えて、布団の上に胡坐をかいた。手紙を手にとると、ミミズが這ったような文字が出迎えてくれた。



