神様のいうとおり!!

あっという間に日曜日をむかえた。
「いってきまぁ〜…す」
「シャキッとせぬか!」
アヤカシや悪魔に興味はないが神様の加護とやらには興味がある。しかしせっかくの日曜日の夜、まったり過ごす時間に儀式は面倒くさいと大きなあくびをする。
「いいか、啞唄真木のクソガキに負けるんじゃねぇぞ」
「そうじゃ!お前はやればできる孫じゃ!」
祖父と父親は宝華よりもテンションが高い。
「まぁ、頑張りなさい」
「帰ってきたら見せてよ〜えへへ〜」
優しい母親と神様の加護を与えられ変人になってしまった姉。祖母は病気で入院中で、兄は仕事中のため数日帰って来ていないが楽しみにしてるそうだ。
そんな家族に見届けられながら儀式をする学校へと向かう。

一度、教室に集まってから儀式をする講堂に向かうのだがクラス中は緊張に包まれて誰もが無言のままだ。
しばらくすると前のクラスが終わったのか廊下が騒がしい。
「じゃあ講堂に行くから整列〜!」
「は…はーい……」
諏田先生の掛け声と共に生徒たちは廊下へ並ぶが気が重いようで返事に元気がない。


「わぁぁっ!すごーい!」
「宝華ちゃん静かに」
初めて入る講堂に興奮した宝華は思わず声がでたが由良に制される。
講堂は外観はどこぞの貴族様が住んでそうな洋館、内観は教会のように両脇には木製のチャーチベンチが並び、中央には長いレッドカーペットと巨大な水晶玉。
水晶がどれくらい巨大かというと小学校の運動会でやった大玉転がしの玉くらい。
心が洗われるような神聖な空気、講堂というより聖堂だ。

席に着くとまずは理事長からの説明。
内容は一年生の時にしつこいくらいに聞かされた話だった。

今は退魔師と呼ばれているが、昔は霊能者と呼ばれアヤカシ討伐をしていた時代。
霊能者たちはアヤカシに対抗するために強い霊能者の育成するために学校を作ったが、育成だけでは強いアヤカシに敵わない。
そこで神の力をお借りできないかと考えた。
日本には万物に神が宿る、八百万の神様がおられるなど伝えられている。
神の加護を与えられた者は超人的な身体能力や魔法のような術を使える。

先人たちがなんやかんやで神様の加護を得られる状態にした。
すぐに誰でもというわけではなく、神様が加護を与えるに相応しい霊力作りをしなければならない。

一年生は神の加護肉体や精神を鍛える修行。
二年生になると神の加護を与えられ、神の力を使いこなせるように修行。
三年生はプロと一緒にアヤカシや悪魔討伐に駆り出される。
低級ならば危険も少なく学生でも倒せる。
宝華たち下級生が授業中にサイレンや放送があったのは三年生が出動するから。
わざわざ授業中にサイレンを鳴らすのは下級生たちに緊張感を持ってもらいたいからだ。

これから行うのは生徒と神様のマッチング。
神様がこの生徒に自分の力を貸しても良いと判断されれば加護を与えられる。
「まずは1番手は合田!」
「は、はいぃっ!」
出席番号順で一番最初に呼ばれた合田はガチガチに緊張している。

神様とのマッチングは巨大な水晶の前に立ち、水晶に自分の霊力を注ぎ込む。
霊力は少量だけで神様はどんな人間か、どれほど実力があるのかわかるらしい。
合田は霊力を注ぐと水晶が光る。
水晶がチカチカと点滅し、すぐに消えてしまう。

「え?神様の加護を与えられたの?」
「でも光が消えちまったぞ」
ザワザワとなる。
「なんか変わった?」
「いや…わかんねー」
前方に座っている生徒が小声で合田に話し掛けるが、手や体を触って確認するがよく分からないようだ。
諏田先生は察したようで少し表情が険しい。
「次は…飯田だな」