言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


その白沢を捕まえた……?


「そ、それホントに白沢なんですか?」

「おう。白沢(はくたく)白沢(しろさわ)さん。中年のオッサンみたいな顔してるからって薫先生が提案してくれてさ」


色々突っ込みたいけれど、どこから突っ込めばいいのか分からない。頭が痛くなってきた。


「でもその白沢のどこが犬なんだよ? 亀世さんさっき、犬って言ったよな?」


泰紀くんの質問に亀世さんは「もっとよく見ろ」と白沢もとい白沢さんを指さす。

ヘッヘッ、と大きな息遣いをしながらゴロンと仰向けになり、私たちにお腹を見せて長いシッポをブンブンとふる白沢さん。


「犬だ」

「犬だな」

「犬だねぇ」


間違いなく犬だ。


「白沢さん、急いでるから背中乗っけてくんね? ほら、俺と戦った時にでかくなってたじゃん。そん時くらいでっかくなれる?」

『任せてくだせぇ旦那』


フリフリとおしりを振った白沢さんが、小さくて細かい歯を見せてニッカリと笑う。白沢さんが喋った!と皆がもう一度仰天する。

白沢だから喋るのも当然なのだけれど。


「おーい皆、失せ物探しの呪歌で大体の方角が分かったよ。ここから南南東だ」

「鳥の形代を飛ばした。空から探させているから、追いかけるぞ」

「ほーい、白沢さんもでかくなったから順番に乗れ〜」


あれよあれよという間に準備が整った。私たちはワゴン車サイズに大きくなった白沢さんの背にまたがる。