「ほい、そんでもってこっちな」
今度は鶴吉さんが私たちを手招きして呼び寄せる。駆け寄った私たちに、亀世さんと同様「ここ見てみ」と地面を指さす。
ぬかるみが乾いたところに、何かがその上を踏んだような車輪が通った跡がある。自転車のタイヤ痕にしては太く、タイヤの跡にしては細い。
「麓の天気は晴れていたらしいが、丁度一日前に山頂付近で雨が降っていたらしい。恐らく瑞祥が攫われた頃とほぼ同時についた後だろうな。ほら」
乾いたその跡のそばには人の足跡があった。おそらく24センチ、瑞祥さんの足のサイズもおそらくその辺なはずだ。
「この辺りは自転車や自動車で通り抜けれるような舗装されたみちでもない。神隠しと関連していると言ってもいいだろうよ」
ほぉ〜、とみんなの感心のため息が揃う。
まだ探し始めて十分と経っていないのに、現場を見ただけでこんなにも次々と手がかりが浮上してくるなんて。
「ちなみにその時、落雷はなかったもののゴロゴロって雷鳴は聞こえたらしい。じゃあ今わかったことから犯人像を推測すると?」
聖仁さんがニコニコしながらそう尋ねた。私たちはお互いの顔を見合わせて、分かったことを指折りしながら整理していく。
「火を使う妖だろ?」
「恐らく攫われた時についた車輪のあと……」
「雷鳴が聞こえたってことは……」



