「よし、ここからは三年の分野だ。先輩たちの本気を見せてやろう」
顎を上げて不敵に笑った亀世さん。こっちに来い、と顎で私たちを呼び付けるとその場に腰を下ろして、落ち葉の散らばる地面を指さした。
「巫寿、拾ってみろ」
落ち葉を拾う?
不思議に思いながらも言われたとおりに亀世さんが示した腐りかけの黒くなった落ち葉にそっと指を伸ばす。
葉の部分を摘むと、持ちあげるよりも前に指先でパリパリと細かく砕けた。指先は真っ黒に煤けている。
これは腐ったり枯れているというよりも────。
「この葉っぱ、焦げてませんか?」
「お? こっちも焦げてっぞ」
「ここもだ」
各所からみんなのそんな声が上げる。
どういうこと? 焚き火をしたとでも言うんだろうか? でも焚き火をした後というのなら、燃えた葉っぱがあちこちに散らばっているのは妙だ。
亀世さんがは顎に手を当てた。
「先生がこの山でキャンプや焚き火は禁止されていると言っていたのも踏まえて、攫われた地点に不自然な燃えた跡から推測するに──攫ったのはおそらく、怪し火を操る妖もしくは火に関連する妖だな」
思わずなるほどと手を打った。
キャンプが行われていれば燃え跡があってもおかしくないけれど、禁止されているのだとしたら火がついた跡があるのは不自然だ。
つまり人以外の何かがここに存在したということ。
さっき車の中で先生に話しかけていたのは、世間話ではなく情報収集だったわけか。



