言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


神隠しと言うと世間一般では、突然人が理由もなく消えた時に神や妖、精霊に連れていかれたのだと半ば冗談のように言われている事象を指す。

神隠しと称される事件のほとんどが家出や迷子、もしくは自分の意思で身を隠した場合なのだけれど、稀に本当に妖が人を連れ去って問題を起こしていることもある。

なので私たちのような神職は、行方不明事件を調査して実際に妖が人を拐っていた場合にそれを「神隠し」と呼んでいる。


そして今回は、その「神隠し」の対応について学ぶ実習だ。

実習内容は至ってシンプル、制限時間以内に神隠しにあったクラスメイトを探し出して集合場所まで戻ってくるというもの。

その神隠しにあう学生は毎回交代で決めているらしく、今回は瑞祥さんがその役回りらしい。

神隠しについて学ぶ単元は三年生からなので、今回私たちは先輩についてまわるだけになりそうだ。


「とにかく消えた瑞祥さんを探し出せばいいんですよね? だったら失せ物探しの祝詞を唱えれば一発なんじゃないですか?」

「ふふ。なら来光、着いたらやってみるといいよ」


どこか楽しそうな聖仁さんに首を捻る。

周りを見渡すと、私たちのように小班に分かれた三年生達が頭を突き合せて必死に作戦会議をしている。

聖仁さんの意味深な発言といい先輩たちの様子といい、恐らく一筋縄ではいかない実習なのだろう。