言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


車の整備をしていた神職さまが「お前たち、そろそろ出発するぞ」と声をかける。外に残っているのは私達だけだった。


「よっしゃ、行くか」


鶴吉さんの一声でみんながぞろぞろと動き出す。


「そういえば、瑞祥さんはどうしたんですか?」


いつものメンバーの中に瑞祥さんの姿が見当たらずキョロキョロと辺りを見渡す。

もうすぐ出発だけれど、先に車に乗り込んでいるのだろうか?


「ああ、瑞祥なら先生と先に出発してるよ。今日の当番は瑞祥だからね」

「当番? 日直の仕事か何かですか?」


不思議に思いながら聞き返す。

私たちが車に乗り込むと、やがて車は目的地に向かってゆっくりと進み始める。

適当な場所に腰を下ろした。


「てかそもそも何の実習なんだ?」

「あれ、聞かされてないの?」


私たちは顔を見合せてひとつ頷いた。先生には無理やり引っ張ってこられただけで、説明を受けた訳でもない。

あちゃー、と苦笑いを浮かべた聖仁さんは「今日は結構キツいよ」と不吉なことを言う。

聖仁さんが「キツい」と言うだなんて、どれほど恐ろしい実習が待ち構えているのだろうか。ゴクリと唾を飲み込んだ。



「今日の実習は"神隠し"だよ」