言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


実習は三年生全体で行う合同実習だったらしい。車の乗り場に向かうと聖仁さんたちが固まって雑談していた。

首根っこを掴まれて現れた私たちに、他の先輩たちは「ああまたアイツらが何かして罰則でも食らっているのか」という少し哀れみの籠った視線を送ってくる。

罰則の常連だと思われているのが恥ずかしいやら情けないやら。


「お前ら今度は何したんだよ」


呆れた顔をした亀世さん。私たちは必死に首を振って無実を訴えた。


「お前たち、部の後輩で仲がいいんだろ。実習中は面倒をみてやりなさい」

「つまりこき使っていいんすか?」


鶴吉さんの質問に、部の後輩である来光くんが「嫌だァァッ!」と泣き叫ぶ。

究極祝詞研究会、通称ノリケンに所属する来光くんはノリケンの先輩である鶴吉さんに、よく新しい祝詞の効果を試す実験台にされているらしい。


「泣くほど嬉しいのか来光?」

「どう見ても違いますよね!? 嫌だ嫌だ僕帰りたいッ!」


じゃあ頼んだぞ、とそそくさその場から離れた先生の背中に恨みを込めた視線を送る。


「皆も実習に参加するってこと?」


不思議そうに首を傾げた聖仁さんにひとつ頷く。


「空きコマだったんで庭園で喋ってたら、運悪く先生に見つかっちゃって。暇なら三年生の実習に参加させてもらえって」

「あー、なるほど。可哀想に」


憐れむ聖仁さんに肩を竦めた。