言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


三学期といえば神社実習だ。

約二ヶ月間実際のお社でほかの神職さまに交じって神職としての活動を行う実習で、一年の時は志らくさんがいるまなびの社で奉仕した。


「今年の実習先はどこなんだろうな」

「僕今度もまなびの社がいいなぁ」

「まなびの社は当たりだったよね」


三学期が始まり、部活動が終わったあとから門限までの時間にみんなで集まり、冬休みに教えてもらったことを練習する自主練時間を設けるのが私たちのルーティーンになった。

今日も屋内演習場で自習練に励む私たちは、用意した模擬戦用からくり人形タロちゃん────顔がくいだおれ太郎に似ているので誰かがそう呼び始めた────と対峙しながら雑談する。


「多くは望まねぇから、せめてゲーセン近くにあるといいな〜」

「映画館もあって欲しい。あとコンビニ」


まなびの社は郊外だったけれどバスや自転車を利用すれば直ぐに街にでることができ、奉仕終わりはよく皆で遊びに出かけた。

寮ぐらしで自由に外に出ることができない私たちは娯楽に飢えている。こういう機会がないと気軽に遊びに出掛けられないので、実習先が市街地か郊外かはかなり重要なポイントだ。


「いつ発表されるんだろうね」


なんて言いながらタロちゃんと向き合った────が、設置したはずのタロちゃんが忽然と姿を消しており「え?」と声を上げた。