「うっひょーッ!」


バシャンッと跳ね上がった水飛沫と共にきめ細かい泡がぶわりと舞い上がる。浴槽に飛び込んだ瑞祥さんは頭に泡の冠を乗せて「ダハハッ! 泡口に入った!」と豪快に笑った。


「巫寿も早く来いよー!」

「でもまだ体洗ってませんよ?」

「どうせ一番最後なんだから気にすんな!」


それはそうかも、とボディソープを見つめる。そしてシャワーを勢いよく頭から被り、浴槽に足を沈めた。

肌に触れる真っ白い泡がくすぐったい。石鹸のいい香りに一日の疲れが洗い流されていくような気分だ。

気持ちいい、とほぐれた声で呟いた。


「なぁなぁ巫寿!」


肩を揺すられ振り向いた。


「猫耳巨乳粒あんパンマン」


頭には泡の白い猫耳、胸にはこんもり盛られた山がふたつ。ほっぺと鼻には丸く形作った三つの泡を乗せた瑞祥さん。

私が勢いよく吹き出せば、満足気ににんまりと笑う。


「巫寿もやるか?」

「こらー、瑞祥。はしたないしアホな事に後輩を巻き込まないよ」


答えたのは私ではなく壁を挟んだ向こう側にいる誰かだ。

昔ながらの銭湯と同じで、男湯と女湯は天井部分が少しだけ開いた一枚の壁で隔てられているため、大きい声を出せば会話することもできる。


この声は聖仁さんだ。