出仕といえば学識の到達程度を表す神職の階位の一番したの位で、中等部卒業時にみんな出仕を取得する。
その他にももう一つ意味があって、社に務める神職の役職名に出仕がある。社の中で一番下の職階で、神職ではなく「神職見習い」という立場だ。
おそらく薫先生の言う出仕は後者の意味合いだろう。
「かむくらの出仕……カッケェ!」
「ヤバッ! つまり"かむくらの神職"の子分ってことでしょ!?」
「すげー! てことは私もかむくらの神職の一員ってことか!?」
「確かに広義の意味では一員ってことになるね。ちょっとテンション上がるなぁ」
うわー!と諸手を挙げて喜ぶ皆に「静かにしろ!」と禄輪さんが目くじらを立てる。興奮したみんなにはそんな声は届かない。
少し前の張り詰めた雰囲気とは打って変わって、会議室は賑やかな空気に包まれる。
みんなが居るだけでこんなにも明るくなるなんて。
しばらく騒ぐみんなを呆れつつ見守ってくれていた大人たちだったけれど、あまりの騒ぎに痺れを切らした玉じいが「いい加減にせんかお前ら!」と一喝したことで皆は借りてきた猫のように大人しくなった。



