カラカラと笑った薫先生にごくりと唾を飲み込む。強くなる前に稽古で死んでしまわないか不安になってきた。
「ちょっと待ってください、今"お前たち"って言いましたか」
「ああ。巫寿以外のお前たちだ」
「まさか────」
恵衣くんが露骨に顔を歪めた次の瞬間。
「すっげぇ!」「ここが伝説のかむくらの屯所!?」そんな声とともにドタバタと廊下を駆け抜ける軽やかな足音が響く。
「こらッ! お客様がおるんやから走るな!」
「ごめん千江さん!」
「部屋ここじゃない?」
「失礼しまーす!」
スパンッと勢いよく開いた扉の先にいた人物たちに目を丸くした。
「久しぶり、巫寿」
「よ、元気してたか」
「げぇ〜、恵衣もいるじゃん」
ドアの前に押し合って並ぶクラスメイトの姿に、嬉しさのあまり思わず立ち上がる。
終業祭以降連絡がなくて、ずっとどうしているか気がかりだった。
「みんな……!」
嘉正くん、泰紀くん、来光くんはすこし照れたようにお互いの顔を見合わせてピースサインを突き出した。
「もしかして皆のことだったの?」
「そ! 薫先生に呼ばれて来たんだよ」
「かむくらの屯所に招かれて、禄輪禰宜に稽古つけて貰えるんだよ。実家の手伝いなんて言ってらんないよね」
「俺もじーちゃんに社のこと任せてきた。年末年始は帰るけど、それまではここにいるぜ」
以前と変わらないみんなの笑顔に肩の力がふっと抜ける。



