「どうなんだよ禄輪?」

「後輩の質問には答えてやれよ禄輪」

「付き合ってたのか? ん?」


完全にからかいモードに入った大人たちにゆでダコの如く顔を真っ赤にした禄輪さんは「ぐっ」と歯を食いしばる。

「ワシも気になるな」と玉じいまで同調し、禄輪さんは天井を仰いだ。


禄輪さんと両親、そして志ようさんは幼馴染で親友だった。長い時間を共に過ごしてきたのだから、両親がそうだったように恋心が芽生えたって不思議ではない。

思えば前に禄輪さんのアルバムを見せてもらった時に、必ずと言っていいほど二人は寄り添うように並んで写っていた。

これってやっぱり"そういうこと"なのでは……!


禄輪さんはニヤニヤ笑う大人たちとキラキラ目を輝かせる若者たちの視線に観念したらしく、それはそれは長いため息をついた後にひとつ咳払いをした。


「お前らには何度も言ってるが、志ようとはそんな関係じゃない。本当だ。嘘はない」

「ええ〜」

「ええってなんだ、ええって」


残念そうに声を上げた神職さまの頭をペちんと叩いた禄輪さんは苦笑いをうかべる。


「残念だったな、思ってた解答が得られなくて」

「てか皆さん知ってたなら教えてくださいよぉ」


どうやらニヤニヤと笑っていた大人たちはもう既に知っていた事実らしい。