何歳になっても恋バナの類は盛り上がるようで、顔を赤くした楽しそうな大人たちが「なになに恋バナ?」とふらふら集まってきた。
嫁自慢やら初恋の話で一通り盛り上がったところで、若い神職さまが「ハイッ!」と元気に手を挙げた。
なんだなんだ、と皆が盛り上がる。
「こういう酒の席でしか聞けないと思うんで、ズバッと聞いちゃいます俺!」
「いいぞ聞け聞け!」
ヒューッと誰かが唇を鳴らす。
「禄輪禰宜!」
自分が指名されるとは思っていなかったようで、呆れた顔で見守っていた禄輪さんは目を瞬かせた。
禄輪さんの恋バナ、めちゃくちゃ気になる……!
ジョッキを煽った若い神職さまはテーブルの上に叩きつけて唇を拭った。
「禄輪禰宜と先代の審神者さまがデキてたって話、ガチっすか!?」
間髪入れず飲んでいた梅酒を吹き出した禄輪さん。変なところに入ったらしく苦しそうに咳き込む音は大人たちの大爆笑で掻き消される。
先代の審神者さま……って志ようさん!? 禄輪さんと志ようさんって付き合ってたの!?
「ばッ、おま、急に何を……ッ!」
「焦ってる〜! 禄輪禰宜焦ってる〜! じゃあやっぱりホントなんすね!?」
「ちょ、お前、一回もう黙れ!」
立ち上がろうとした禄輪さんの両肩を、両サイドに座っていた神職さまがガッチリ掴んで抑え込む。
顔を真っ赤にした禄輪さんが「ふざけるなお前ら!」と叫び必死に暴れる。



