「てっきり私たちも参加させてもらえるんだと思ってました」
台所のテーブルに顎を乗せてはぁとため息を零す。
会合が始まってもう二時間は経っただろうか。広間の障子はピッタリとしまったままで、まだ誰一人として出てきていない。
忙しそうに食器を洗う千江さんは「んな訳あるかいな」と落ち込む私を笑い飛ばす。
「神役諸法度にも書いてあるやろ。学生のうちの神職活動は原則禁止ってな」
確かに規則上そうなのだけれど、ここまで関わっているのだから話を聞くことくらいは許してほしい。大事な部分だけ仲間はずれにするなら、最初から何も知らされていない方がまだましだ。
「この俺ですら毎回外されてんだぞ」
私の向かいに座って冬休みの宿題に取り組んでいた恵衣くんが鼻を鳴らす。恵衣くんも私と同じで広間から追い出された組だ。
「恵衣くんはかむくらの神職の一員じゃなかったの?」
「正式なメンバーじゃない。実質薫先生の下についてるだけで、俺が動く時も基本薫先生から頼まれるし」
なるほど、そういう訳だったのか。
確かに前々から恵衣くんは、薫先生に頼まれて影で色々と動いていた。
「まぁ、お前の気持ちは分からんでもないが」
唇を突き出した恵衣くんはノートに頬杖をついて壁を睨む。
やっぱり恵衣くんも思うところがあるらしい。



