言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


「私が名前を付けたから。私があの子に名前なんて付けたから、あの子を縛ってしまったッ……」

「どういうこと? もしかして先見の明で何か見たの?」

「こんなことになるなんて微塵も思ってなかったの……! ああ、どうしたらいい? 私は何てことを。泉ちゃんたちの大切な、私たちの大切な希望を」


巫寿、志ようちゃんが私の名前をつぶやく。泣き腫らした顔でゆっくりとお母さんを見た。

巫寿、わたしの名前。

お母さんとお揃いで、お兄ちゃんとお揃いで、お父さんたちの大切な人がつけてくれた名前。


「私はこの子に、神々に愛され、永遠の祝福がありますように。そういう意味を込めて巫寿と名付けた」

「ええ。知っているわ。貴方がそう教えてくれたもの」


それがいけなかったの。

志ようちゃんは震える声で続けた。


「審神者である私が、かむくらの巫女である私が、巫寿に名前を与えたことがいけなかったの。名前を授けるというのは命を与えること、人生を縛ること。私は巫寿に"巫寿"という呪いをかけたのよ」


お母さんの瞳が揺れる。志ようちゃんはお母さんと繋いだ手をぎゅっと握りしめた。


「巫寿の巫は、かむくらの巫女の巫。巫寿はかむくらの巫女である私の宿命の半分を背負っているわ」


は、とお母さんが息を飲む音がした。