鳥居のところで白いお兄さんに「また来たのかガキンチョ」と睨まれる。ベェッと舌を出してお母さんとお家に入った。志ようちゃんのお家にはピンポンがないのに、志ようちゃんは私たちが遊びに来るとエスパーみたいに気付く。
今日も後ろから驚かそうとして飛び付いたけれど、少しもびっくりする素振りを見せずに「いらっしゃい巫寿」と志ようちゃんは笑った。
あれ?と首を傾げる。
いつもならぎゅうっと抱きしめてくれる志ようちゃんが、今日はしてくれなかった。
遅れてやってきたお母さんを見ると一瞬泣きそうな顔をして、パッと笑う。
「巫寿、お母さんと少しお話することがあるからお庭で遊んでて。台所の戸棚にクッキーが置いてあるから、それを持って行っていいよ」
私は志ようちゃんが作ってくれるお菓子が大好きで、特にチョコチップがザクザク入った手作りクッキーが大好物だった。まんまと食べ物に釣られてスキップで台所へ向かい、戸棚から袋詰めされたクッキーを見つけ出すと、これまたスキップで庭に出た。
志ようちゃんのおうちの庭には背の低い梅の木が沢山植えてある。けれど梅の木の高さじゃ木登りをしても楽しくなくて、いつもいちばん大きな楠に登った。赤く色付いた葉っぱがとても綺麗だった。
幹に近い太い枝に腰を下ろすと、袖に入れていたクッキーを取り出しいただきますと手を合わせる。
志ようちゃんのクッキーはいつも変な形だ。この前はアリクイの形でその前はバクの形だと言っていた。今日のクッキーもよく分からない形をしているけれど四本足なので多分動物だ。変な形でも味はピカイチ。
美味しい〜と頬に手を当てて、最近お母さんに教えてもらった歌を歌う。



