恐らく禄輪さんは「なんて粋な計らいだろう」とでも言われると思ったのだろう。少しはにかんで鼻を高くする。女性陣の呆れた冷たい視線に気付かず。


「……巫寿ちゃん、硝子製の深いグラスがあるからそれ持っていき。その男に任せたらあかん」

「わかりました」


禄輪さんの手から水仙とバケツをそっと取り上げる。「え?」と困惑する禄輪さんの背を押して台所から追い出した。