言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー




「巫寿。今日ちょっとお出かけしようか」


朝起きて直ぐによそ行きの着物を着せられた。洋服ではなく着物を着せられる時はお母さんたちのお友達に会うときか、オヤシロへ行く時だ。

どこいくの?とまだ開ききらない目を擦りながら尋ねる。


()ようちゃんのところだよ」

「しようちゃん!? やったー!」


ぴょーんと飛び跳ねて喜ぶ私にお母さんは「帯結べないよ」と苦笑いを浮べる。

志ようちゃんはお母さんとお父さんの親友で、すごく面白くて優しいお姉さんだ。すごくたまに、そしてこっそりとしか会えない人で、お母さんは「志ようにはとても大切なお勤めがあるからよ」と言っていた。

志ようちゃんのお家はとても広くてお庭はいい匂いがして、遊びに行くといつも美味しいお菓子を出してくれる。白いお兄さんは少し怖いけど、お母さんがいつもよりも楽しそうな顔をするから、私も志ようちゃんのおうちが好きだった。

志ようちゃんのおうちは凄く遠い。たくさんあるかなければいけない。車で行けばいいのにと文句を言うと、お母さんは「一度やったら凄く怒られたのよねぇ」とほっぺたを抑えていた。

いつも途中でくたびれて、お母さんにおんぶしてもらう。

本当はもうちょっと歩けるけれど、今日も半分くらい歩いたところでお母さんにおんぶをおねだりした。

お母さんのおんぶは温かくていい匂いがする。

そしていつの間にか眠ってしまって、気が付けば志ようちゃんのおうちに着いているのだ。