訃報は瞬く間に広まった。
学生が一人亡くなって、残り一週間だった神社実習は急遽取り止めとなり、全ての学生は神修へ強制帰還となった。
聖仁さんの神葬祭は実家の社で執り行われることになった。
授業はまだ再開されていない。本庁からは学生は外に出ず自室待機するように連絡があった。けれど朝食後、聖仁さんの実家の社へ行く車が3回に分けて神修から出発するという校内放送があった。別れを惜しむ間すら与えられなかった学生たちへの配慮だったんだろう。
律儀に本庁の言いつけを守る人はほとんどいなかった。一回目の車は乗り場に長蛇の列ができており、私たちが車に乗れたのは結局三回目の便だった。
雨は降っていなかったものの空は灰色の分厚い雲に覆われていて薄暗い。悲しいことがある日はいつもこんな空をしている。
雛渡りの行事を手伝った時は、聖仁さんの人柄そのもののようにたくさんの人で溢れてた社頭は、柔らかな日差しと温かな笑い声に包まれていた。あの時と同じように沢山の人がいるはずなのに、今はひっそりと静まり返っていた。ただ誰かが嗚咽を漏らす声と突然の訃報に戸惑い噂話をする声だけがひそひそと聞こえてきた。
「ねぇ聞いた? 三年の瑞祥さん、朝からまだ一度も神葬祭に顔を出してないんだって」
「え、瑞祥さんって聖仁さんの彼女だよね?」
「うん。相当ショックを受けてるんじゃないかな」
「そりゃそうだよね。私たちだってこんなに悲しいのに、彼女って立場だったらもっと……」
噂話をしているのは紺色の制服の学生だった。中等部の子たちだろ。



