唱え終わるとほぼ同時に、その場にいた全員が耳を押えて膝から崩れ落ちた。まるでハンマーで頭を殴られたような強い衝撃と共に、きぃんと強い耳鳴りが響く。
何が起きたのかも分からずにただ全員が床の上に転がった。
誰も呻き声すら上げられず、突然響いた爆音の後遺症に悶絶する。
数分して、「なっんだよ今の!」と頭を振りながら泰紀くんが起き上がる。ゆっくり体を起こす。まだ目の前がぐわんぐわんと揺れていた。
他のみんなも何が何だか分からないといった様子で起き上がる。
「あー、マジかー……一瞬意識飛んでたわ」
一番最後まで寝転がっていた薫先生が、こめかみを叩きながら起き上がった。
「薫先生今の何!?」
「泰紀叫ばないで、頭に響く。あとさっきの爆音の原因、コレ」
薫先生は床についていた手を気怠げに持ち上げた。握っていたそれを軽く振って私たちに掲げる。
その場にいた誰もが言葉を失った。聖仁さんが震える声で呟く。
「辰巳陽太が……空亡、なのか?」



