「そうそう。よく覚えてたね。もう少し具体的に言うと、空亡の残穢は食べることによって受肉するけど、消化はされないから妖の胃の中にあるのね。だから口から手を突っ込んで、胃の中からそれを取り出すってわけ」
2度目の説明なのに具合が悪くなりそうだ。
そして男子陣では、誰がそれやるんだよ、という無言の押しつけあいが始まる。流石に"グチャッと"は成績優秀なこの二人でも抵抗があるらしい。そりゃそうだ。
「とにかく、君らは受肉して暴走してる妖を止めればいいから。誰が取り出すかは、後でジャン負けで決めればいいよ」
ジャン負けって罰ゲームじゃん……。これって一応任務なんだよね?
ふむ、と興味深げに眼鏡を押し上げた亀世さん。
「妖の体の構造には興味があったんだ。私がやろう」
「良かったねぇ皆。亀世が名乗り出てくれたよ。まったく、うちの男子共は貧弱で困ったもんだ」
やれやれと肩を竦めた薫先生に、みんなは罰が悪そうに目を逸らしたあと亀世さんを拝む。
とにかく対処方法と役割分担は完了した。あとは実行に移すのみだ。
ちょうど廃神社へ道が続いているので、ある程度の広さはある。ここなら大丈夫か。
「じゃあ、鼓舞の明使いますね」
お、と薫先生が興味深げに声を上げる。
そういえばクラスメイトや聖仁さんたちの前では披露したことがあるけれど、薫先生の前で披露するのは初めてだ。



