私たちの目的地であり薫先生が派遣された水折神社は、県境にある山の麓にある廃神社だ。
とはいえ、多分今回の場合だと聖仁一人でも回収できると思うんだよね。恵衣だけだと微妙だけど。
スマホに表示される位置情報ではもう目と鼻の先で神社へ辿り着くというところで、薫先生がそう呟いた。言葉の真意を探るよりも先に、流れてくる禍々しい暗紫色の残穢に皆が息を詰める。
2年前の記憶がぶわりと蘇る。一年の一学期、神修の校舎内にあった空亡の残穢を私たちが封じ直した。
激しく目が回り肌を数千の針で突き刺され、内蔵を撫でられるような耐え難い不快感。間違いなくこの先に空亡の残穢がある。
「なんか、一年の時よりかはマシだな」
鼻をつまんだ泰紀くんが零す。
確かにあの時の不快感に比べたらかなり軽い方かもしれない。
「あはは、そりゃそうだよ。学校にあったやつは拳サイズの肉片。この土地の神職による報告だと、今回の任務は小指の爪サイズの肉片らしいから」
右手の小指を立てた薫先生は、このくらいと反対の手で爪を指さした。
むしろそのサイズでこんなに禍々しい残穢を垂れ流すなんて、本当に私たちに太刀打ちできるんだろうか。
前回は封印だったけれど、今回は戦った上で回収しなければならない。
「薫先生、具体的に回収ってどうやればいいんですか?」
「いい質問。泰紀、前に説明したの覚えてる?」
「え? えーと……口から手を突っ込んで、こう、グチャッと引き出すんじゃなかったっけ?」
私と泰紀くんは前に教えてもらったので知っているけれど、初耳だった聖仁さんと恵衣くんは口を閉ざして青い顔をした。亀世さゆはグロ耐性があるらしい。



