「薫先生が悩むってことは、相手は俺らでもギリギリどうにかなる程度ってことですよね。じゃあやります」
「後輩に先越されちゃったなぁ。俺も恵衣と同じ意見です。薫先生さえよければ、連れていってください」
恵衣くんに続いてすぐさまそう答えた聖仁さんに目を剥いた。
嘘でしょ、だって空亡の残穢の回収だよ? 本庁がわざわざ薫先生を指名するほどの案件なんだよ?
信じられない、というのが私の顔に出ていたのか聖仁さんはプッと吹き出す。
「こんなご時世だし、今のうちに自分の力がどれだけ通用するのか試してみたいんだ。もちろん薫先生も手伝ってくれるんですよね?」
「あはは、当たり前じゃん。生徒だけでやらせるわけないでしょ」
薫先生がバックアップしてくれるとはいえ、やはり危険な任務であることには変わりない。
成績優秀な恵衣くんや聖仁さんならまだしも、まだまだみんなの足を引っ張っている私が空亡の残穢と戦うだなんて。
「私はパス。自分の力量なら分かってるし試す必要もない。将来私に空亡の残穢回収の任務が回ってくるとも思えんしな。というか面倒くさい」
はぁ、と息を吐いた亀世さん。最後の一言が9割がた本音だと思う。亀世はそう言うと思ったよ、と薫先生は楽しそうに肩を揺らす。
捨てられた子犬のように眉を垂れさせた泰紀くんが薫先生を伺う。
「薫センセェ、俺でも出来ると思う?」
「それはやってみないと分からないねぇ。ただ学年末の昇階位試験で優位になるような実績は詰めると思うよ。場合によっちゃ赤点でも繰り上げ合格になったり────」
「やるやる! 俺やります!」
泰紀くんはしゅばっと手を伸ばして勢いよく宣言する。



