「あの洋館で一番偉い妖って君かな?」
膝を折り、座敷童子と目線を合わせた聖仁さんは微笑んだ。
「そうだよ〜」
「ちょっとある幽霊を探してて、みんなに話を聞きたいから中に入ってもいい?」
「いいよ! 人間のお客さんは久しぶりだから嬉しい」
座敷童子はと私と聖仁さんの手を取り「こっちこっち」と玄関へ走り出した。
なるほど。確かになんの知識もない私たちが闇雲に探すより、同じ幽霊や妖たちから話を聞く方が有益な情報が出てくるかもしれない。
やっぱり聖仁さんは流石だ。
開けると悲鳴のような音を立てる玄関扉を通り抜ける。案の定というか想像通りというか、外観通り荒れ果てた洋館が広がっていた。
なんだなんだ、と影から妖たちが顔を出し、ふよふよ漂っていた幽霊たちがじろりとこちらを睨む。
一昨年までの私なら気絶していたかもしれない。紛うことなき幽霊屋敷だ。
「神職のお兄さんとお姉さんが、皆に話聞きたいんだって〜」
得意げに一歩前に出た座敷童子は、「ね?」と私たちに相槌を求める。
「そうなんだ。俺たちは少年の幽霊を探していて、皆にこの辺りで見かけたかどうか聞きたくて」
あっという間にわらわら集まってきた幽霊に取り囲まれる。
かなり慣れたとはいえどうにも緊張してしまう。霊によってはなかなか恐ろしい姿をしているものもいるので仕方ない。
うっかり怯えた態度を見せたり怖がって叫んだりすれば悪い霊だと取り付いてくるし、良い霊の場合は相手を傷付けてしまうからあくまで冷静に対応するように、と妖生態学で習ったことを必死に思い出す。



