言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


私たちに割り振られたポイントは、目撃証言があった前回のポイントから1キロほど離れた地点の今は使われていない洋館だ。

伸びきった雑草で玄関アプローチはすっかり隠れ黒ずんだ壁には蔦が生い茂り、瓦は所々抜けていた。一際重苦しい雰囲気の漂う廃屋を見上げる。


「なんというか、典型的な幽霊屋敷って感じだね」


持参した懐中電灯で割れた家を照らした聖仁さん。二階ガラス窓の向こうから黒髪の女性がこちらに向かって手招きをしており、庭のブランコはキーコキーコとひとりでに揺れている。よく見ると少女の幽霊が無表情で遊んでいた。

一階の窓の向こうには青い火の玉がふよふよと漂っていて、たった今私の右隣を河童の親子が手を繋いで通り過ぎ洋館に入っていく。「お? 神職がこんなとこまで来るなんて珍しいな」といつの間にか私の肩によじ登った小鬼に話しかけられた。


「どうしよっか、これじゃちょっと探しにくいね。こんなに幽霊と妖が住み着いてるとは思ってなかったな」


お兄ちゃん誰か探してるの?と不思議そうな顔で聖仁さんの袴を握ったのは、赤い着物を着たおかっぱ頭の女の子。座敷童子だ、珍しい。

躊躇なく雑草の茂みに消えていった恵衣くんが「カギ開いてます」と叫ぶ。


おっ、と嬉しそうな声を上げた聖仁さん。