しばらく狭い住宅街の道路を歩き続けると、目の前にトタン屋根の大きな工場が現れて道は左右に別れていた。
「確認したいポイントは三箇所あるし、2チームにわけようか。お互いに一箇所ずつ確認して、残り一箇所のところで合流しよう」
異議なし、と声が揃う。
「じゃあ三年と女子は分けるとして、亀世泰紀恵衣、俺と巫寿ちゃんでどう?」
異議なし、の声は今度は揃わなかった。恵衣くんがすっと手を上げる。
「聖仁さん、俺そっち行ってもいいですか」
「……あー、そうだったね。じゃあ恵衣はこっちおいで」
一瞬ちらりと私を見た聖仁さんはすぐに納得したように頷く。その意味ありげな視線で思い出す。
芽さんが私を狙っているかもしれないということが分かってから、恵衣くんは薫先生に頼まれて私の身辺警護を担ってくれている。
冬休みの特訓で、聖仁さんやクラスメイト達にもその事情は共有しているのでそれを思い出したのだろう。
「なんだ恵衣。お前巫寿のこと好きなのか」
ハハッ、と笑った亀世さん。
ひょろろろと乾いた冷たい風が私たちの間を吹き抜けた。そしてプツンと切れてはいけない何かが切れたような音が聞こえた気がする。
ヒッ、と泰紀くんが息を飲むと青い顔で聖仁さんの後ろに隠れた。
冬の寒さとは異なる冷気を感じ、私も恐ろしさのあまり振り向くことが出来なかった。



