「聖仁これは?」
「最近妖統計学に興味があって勉強してたんだけど、今回の事案にも応用できるんじゃないかと思ってさ。二人が休憩している間に割り出してみたんだよ」
妖統計学というと、幽世動物の生態を数字から読み解く専科の専門科目だ。
聖仁さんって、もうそんな先の勉強までしてるんだ。
「だから今からこの三ヶ所を見回ってみようと思うんだけどどうかな?」
もちろん皆異論はなしだ。
じゃあここ片付けたらすぐに出発ね、とテーブルの上に広げた書類を束ね始めた聖仁さんに歩みよる。
「聖仁さん、もう専科の勉強をされてるなんて凄いです。しかも実践に応用まで」
ん?と振り返った聖仁さんは、少し照れたように首の後ろを摩る。
「ありがとう。でも俺って生粋の文系だから、計算は苦手なんだよね。数値を割り出すパートは全部恵衣がやってくれたんだよ」
黙々とパイプ椅子を畳んでいた恵衣くんが少し不機嫌な顔で振り返る。
「別にそれくらい誰だってできますよ」
はぁ、と呆れたようにため息をこぼす。
「そんなことないよ。公式と法則性を理解して計算しているんだから十分恵衣の手柄だ。だよね、巫寿ちゃん」
「え? あ、はい! 凄いね、恵衣くん」
話題を振られて慌てて首を振れば、フンッと鼻を鳴らした恵衣くんはまた黙々と片付けに取り掛かる。
そんな姿に、照れてる照れてると揶揄う聖仁さん。
照れてる? 私には「お前にそんなこと言われたくない」と言っているようにしか見えなかったんだけど……。
まぁとにかく凄いことは確かなので、帰ってきたら二人にやり方を教えてもらおう。



