聖仁さんと何かありました?と尋ねると、何やら言いにくそうにごにょごにょと口篭る。

目の前に座る亀世さんが人差し指をクイクイと動かして私にスマホを渡すように合図する。戸惑いながらもスマホを渡せば、亀世さんはテーブルの上に置いてスピーカーモードをオンにした。


『いや、その……今朝はおはようのメッセージが来てなかったからちょっと心配だったんだ。だからか今朝からずっと胸騒ぎがするっていうか……』


おはようの、メッセージ……。

この二人は毎朝おはようのメッセージを送りあっているの?

すっかり面白がった亀世さんが勢いよく口を抑えて肩を震わせる。私は遠い目でスマホを見つめた。

そういえば今朝の聖仁さんは、珍しく朝拝ギリギリに本殿へ来ていたことを思い出す。朝起きたらスマホの充電切れててアラーム鳴らなかったんだよね、と苦笑いで寝癖を撫でつけていた。

……なるほど、さしずめ昨日は瑞祥さんと寝落ちするまで通話していて、それでスマホの充電がなくなったんだろう。

そして朝は寝坊してしまい充電もできずに飛び出してきたってところだろうか。

ちょっと呆れ気味に息を吐く。


「……良ければ繋ぎましょうか?」

『いや、いいよ! でも心配するから早く返事よこせって伝えといて。あと怪我すんなよって』


一緒にいないはずなのに昨日からこのバカップルのイチャつきを見せつけられて若干胸焼けがしてきた。

大好きな先輩たちだけれど、ちょっとこればかりは勘弁して欲しい。

堪えきれなくなった亀世さんがハッハッハと声を上げて笑い出す。