けれど困った時には必ず手をさし伸ばしてくれて、苦しい時に寄り添ってくれる。
この二年で恵衣くんはそういう人なのだと分かった。
頼もしくて、背中を預けられる大切な仲間だ。
迷わずそう答えれば、聖仁さんはまるで菩薩のように微笑んだ後「なーーるほど」と天を仰ぐ。
え? 私おかしなこと言っただろうか?
「あの恵衣と、この巫寿ちゃんだもんな……」
「私がどうかしましたか?」
「いや、なんでもない。ただ恵衣がもし自分の気持ちに気付いたとしても、先は長いだろうなって」
恵衣くんの気持ち? 先は長い?
聖仁さんは一体何の話をしているんだろう。
眉をひそめて首を捻っていると、「気にしないで」と聖仁さんは私にココアを進めた。
淹れたてのミルクココアが入ったマグカップを両手で包み込みながらダイニングテーブルを挟んで座る。
甘い湯気に自然と肩の力が抜けていく。
「出かけた話で言えば、聖仁さんも瑞祥さんと順調みたいですね。この間のデートの報告、瑞祥さんから聞きました」
報告といえば聞こえがいいけれど、半分は所属する神楽部の後輩である盛福ちゃんと玉珠ちゃんが無理やり吐かせたようなものなのだけれど。
どこに行ったんですか何したんですかどうせ最後には吐かせるんですから早いうちにゲロっといた方が気が楽ですよ、なんて二人で捲し立てていて、瑞祥さんがちょっと可哀想だった。
ちなみに先日見せてもらった二人がホーム画面に設定しているバックハグの写真も晒されて、しっかりからかわれていた。



