どこか私を疑うような目でニヤリと笑った聖仁さん。
一体それはどういう顔なんだろう?
「恵衣と巫寿ちゃん、最近仲良いよね。この前は休みの日に二人で出かけたんでしょ?」
神修へ向かう前の買い物に付き合ってもらった日のことを言っているんだろう。
あれは二人で出かけたというよりも、恵衣くんが渋々引率してくれたという表現の方が正しいかと思うけど。
「そう……ですね。一年の頃に比べたら、かなり話しやすくなったなぁとは思います。最初の頃なんて"やる気がないなら出ていけ"って言われてましたからね」
懐かしいな、と二年前のことを思い出す。あれは神修に来て、まだ数週間しかたっていなかった頃だ。夜の社頭で偶然会って、「迷惑だ、神修から出ていけ」と睨まれたんだっけ。
あの頃は目が合えば悪態を吐かれるし、厳しいし怖いし、恵衣くんのことがすごく苦手だった。
「あはは。確かに二年前の恵衣はそんな感じだったよね。じゃあ、今は恵衣のことどう思ってるの?」
そう尋ねられ目を瞬かせた。もう一度恵衣くんのことを心に思い浮かべる。
関係が少しずつ変わり始めたのは、二学期の応声虫の事件がきっかけだった。
皆で必死に事件解決に向けて奔走するうちに自然と会話が増えるようになって、授業や実習を通じて恵衣くんがどういう人なのかを知っていった。
「ごめんね」と「ありがとう」を言うのが極端に下手くそで、借りたハンカチをクリーニングに出して返すような友達付き合い初心者で、人に優しくする時はなぜか怒りっぽくなる。



