言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー




「────おい巫寿、予定変更だ。わくたかむの社に帰るぞ」


外出から帰ってきた清志さんも交えて雑談していると、電話するために外へ出ていた恵衣くんがそう言いながら居間へ戻ってきた。


「かむくらの屯所へは寄らないの?」


こくりと頷いた恵衣くんがひとつ息を吐く。


「禄輪禰宜に連絡をとったが屯所は今主要メンバーが誰もいないらしい。ざっと概要は電話で伝えたが、直接話を聞きたいから次の土曜日に屯所へ来てくれだと」

「誰もいないんだ。了解。禄輪さんたちに直接伝えるほうがいいもんね」


時計を見上げる。お昼時を少し過ぎた頃だった。

清志さんから"昼飯食ってくか?"と提案されたけれど丁寧にお断りをした。一応今日は奉仕がある日なので早く社に帰らなければならない。

隆永宮司と清志さんが店前まで見送ってくれた。

今回もたんまりとお土産をもたしてくれた清志さんに深々と頭を下げてお礼を伝える。


「二人とも気を付けて帰りなよ。ああ、それと俺がここに居候してることは社の面々には秘密にしてくれると助かる」


申し訳なさそうに肩を竦めた隆永宮司に眉を下げる。


「真言権宮司はすごく心配されてますよ」

「分かってるよ。でもさっき言った通り、社の神職たちをこれ以上巻き込む訳にはいかないから。それに和菓子屋の倅として生きるのも、なかなか楽しいし」


清志さんにチラリと視線を向けた隆永宮司がいたずらに笑う。何言ってやがんだ、と背中を叩かれて楽しそうに肩を揺らした。

ありがとうございました、と二人にもう一度頭を下げる。私たちは二人に背を向けて歩き出した。