本題に入るかと息を吐いた隆永宮司はゆっくりとちゃぶ台の木目から私に視線を移す。
「巫寿さんの言う通りだ。わくたかむの宝物殿にある國舘剣は偽物で、俺はあの日真言にそれを伝えた」
やっぱり、と小さく呟く。私の予想は間違っていなかったんだ。
隆永宮司が続ける。
────ただ偽物を置いているだけじゃない。わくたかむの社の創建時に、十二神使の青龍さまより、本物の國舘剣を守るためにこのお役目を賜ったとされている。
隆永宮司の目を見れば、嘘偽りがないことは分かる。
"昔青龍からそのような話を聞いたことがあります"と頭の奥に眞奉の言葉が響いた。同じ十二神使の眞奉がそういうなら間違いないのだろう。
歴史の授業でも、戦前戦後には美術品のレプリカが沢山作られて、本物が被害を受けないようにしたというのを習ったことがある。
おそらく、わくたかむの社の剣もそういう意図で作られたんだろう。
「どうして芽さんが國舘剣を盗んだのか分かりますか」
私の問いかけに隆永宮司は「確実なことは俺も分からない」と静かに首を振った。
そんな、と小さく呟く。
隆永宮司なら何か知っているんじゃないかと思っていたのに。
隆永宮司は間髪入れず「ただ」と続けた。
「ただ、可能性があるとするならアイツは……」
"三種の神器を狙っている"。



