言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー



清志さんは今日家を開けているらしい。我が家のように湯呑みを三つ用意した隆永宮司はちゃぶ台の上にどら焼きと一緒に並べた。


「うちのどら焼き美味いよ。食ってみな」

「あ、先日清志さんに頂きました。すごく美味しかったです。いただきますね」


そう言って小分けにされた袋に手を伸ばした。

隆永宮司は私たちの向かいに腰を下ろす。


「この前来てた客は君らだったか。お義父さんがやけに機嫌がよくて、妙だと思ったんだよ」


小さく笑った隆永宮司はどら焼きにかぶりつき「やっぱ美味いな」と唇の隅の欠片を親指で拭う。

それで、と話を切り出した恵衣くんに湯呑みを煽りながらじろりと視線が向けられた。


「話す前に聞きたいんだが、君らはそれを知ってどうするつもりだ? まさか自分たちでどうこうしようなんて馬鹿げたことを考えているわけではないだろうな?」

「もちろんです。俺とこいつはかむくらの神職と関わりがります。ここで聞いた話は全て神職たちに報告するつもりです」


"自分勝手に動くな"というのは一年の頃から色んな大人に鉄拳付きで散々叩き込まれてきた。それこそ言葉通り身に染みるほどに。思い出しただけでも脳天がズキズキする。

今日、わざわざ今日丸一日外出許可を貰ったのも、このあとかむくらの屯所によってかむくらの神職に報告するためだ。


恵衣くんの返事に満足したのか、ならいい、とひとつ咳払いをした。