深く息を吐いた隆永宮司は、どこか思い詰めたような目でじっと私を見つめる。
「審神者に名をもらった子、か」
そう呟いた隆永宮司は、おもむろに懐へ手を入れる。取り出したのは人の形をした紙、人形だ。
ぼそぼそと口の中で祝詞を唱えた後、フッと息を吹きかける。ぶわりと宙を舞ったそれは、宮司と同じくらいの背丈まで大きくなると四方の壁に溶け込むように張り付いた。その瞬間、まるで鳥居をくぐり抜けた時のように、体がふわりと軽くなる。
ぽかんと口を開けて己の手のひらを見つめた。
隆永宮司の目付きが変わった。瞳に力が籠っている。
「念のため結界を張らせてもらった。長くなるから上で話そう」
たすき掛けを解いた隆永宮司が二階を指さす。恵衣くんと目を合わせたあと、私は深く頷いた。



