言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


紺色の羽織に同じ色のマフラーを巻いた和装の男性だ。両手には買い物袋を提げている。

切れ長で涼し気な目元はどこか寂しげな影を帯びており、頬の線は彫刻のように整っている。凛とした眉を申し訳なさそうに下げたその人は、私たちにゆっくりと視線を合わせて微笑んだ。



そうか、薫先生は────お父さんに似ていたんだ。



「隆永宮司、ですね?」



私の問いかけにゆっくりと目を見開いたその人は、私と恵衣くんを上から下までじっと見る。そして観念したかのようにガシガシと頭の後ろをかくと、苦笑いを浮べる。


「……袴じゃないから客かと思って油断したなぁ。君ら神修生だろ? ということは神社実習に来てる子たちだな」

「はい。そうです」

「誰の差し金? 真言? でも俺がここにいること、アイツは知らないんじゃないの?」


慣れた手つきで店の鍵を開けると、動揺する様子も見せずに中へ入っていく。

寒いだろ、君らも入りな。

店の灯りをつけながらそう言った隆永宮司。顔を見合せた私たちは、ゆっくりと店の中へ足を踏み入れた。