そんな私に薫先生は目を弓なりにする。


「よかった。こんな話をしたら巫寿が気に病むんじゃないかと思ったんだけど」


ちらりと恵衣くんを見る。

相変わらず不機嫌な顔で目を逸らしている。


「否定するなって、言祝ぎを口にしろって言われたんで」

「あはは、なるほどね。いい心掛けだ」


もしその言葉がなかったら、薫先生の言う通りまた気に病んで落ち込んでしまったかもしれない。

はい、と肩を竦めてはにかんだ。


その後は恵衣くんの提案で薫先生に冬休みの宿題を見てもらうことになったのだけれど、教師である薫先生が「そんなの後でいいよ、ウノやろウノ」とゴネて、恵衣くんに汚いものを見るような目を向けられていた。