言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー


芽さんが審神者のもとで力の制御を学んでいたのは、かむくらの社で玉じいから教えてもらった。

まさか志ようさんと芽さんがそこまで親しい仲だったとは思わなかったけれど。


「長い間審神者さまの元で修行していたんですか?」

「中等部の頃からだから、5年くらいだろうか。あとから本庁の役人に聞いた話だが、空亡戦の最中もかむくらの社の護衛役としておそばに居たらしい」


空亡線の最後の方には学生動員があった。薫先生からは学生動員で親友が亡くなったと聞いている。

自分はなにもできず親友を亡くし、母のように慕っていた女性を失った芽さん。

彼を支える手は沢山あったはずだけれど、きっと負の感情はそれを上回ってしまったんだろう。


ふと、ずっと記憶の片隅にあった前に見た夢の内容が脳裏を駆け巡り、ハッと息を飲んだ。


いまよりももう少し綺麗で、丁寧に手入れされたかむくらの社だ。

私は木に登って遊んでいて、誰かに声をかけられた。顔は覚えていない、ただ松葉色の袴を着たお兄さんだったことは覚えている。

お兄さんに「こんな所で遊んでいちゃダメだよ」と木から降ろされて、手を繋いで社の廊下を歩いた。その先で、志ようさんがお母さんに抱きつきながら泣きじゃくる姿を見た。

ただの夢かと思っていたけれど、お母さんの日記で私が小さい頃にかむくらの社へ行ったことがあることが分かった。