きっと私がどんな励ましの言葉をかけたところで権宮司の心には響かないだろうし、安易に励ましの声をかけていいものでもない。
「悔いても過去は変わらないのだから、残された私たちは未来を見るしかないのだけれどね」
真言権宮司は優しい顔をして続ける。
"残された私たちは、未来を見るしかない"
その言葉には重みがあって、私の心に深く沈み込む。
「百くんから君のことは何となく聞いている。芽さまや薫さまの時も、巫寿くんも。若い君たちに重荷を背負わせて何もできない大人たちをどうか許してくれ」
申し訳なさそうに微笑む権宮司に首を振った。
これまで私のことを助けてくれた人たちの顔が脳裏をよぎる。
何も出来ずもがく私に、皆は迷わず手を差し伸べてくれた。
「そんなことありません。私、沢山の人に助けてもらっています。だからきっと薫先生も芽……さんも、沢山の人に支えられていたんだと思います」
きっと今の薫先生が笑えているのは、薫先生の周りにいた大人たちや嬉々先生のような親友が、薫先生を支えていたからだ。
少し驚いた顔をした真言権宮司。そうか、そうだね、と噛み締めるように呟いた。
「それで、君が聞きたかったことは聞けただろうか。芽さまのことを知りたかったんだろうけれど、あいにく私は学校でのご様子はほとんど存じ上げないんだ。高等部にあがられた頃からはもっぱら審神者さまのお話ばかりだったしなぁ……」



