「ちょ、待ってください隆永さま! ちゃんと説明してください!」
必死に声をかけたが反応はなく、中から結界を貼ったのか襖はビクとも動かない。
訳が分からず、ただ手のひらには任命書が握られている。
どうして急に私を権宮司に? そしてなぜ、宮司にしか引き継がれない社の秘密を私に明かしたんだ?
隆永さまのご様子もおかしかった。いや、あれが本来の隆永さまなのだけれど、だとしても変化が急すぎる。
胸騒ぎがする。私の勘は鋭い方ではないけれど、"何かが起きる"そんな気がする。
それ以上私と会話をするつもりは無いのか、隆永さまは頑なに襖を開けなかった。
まぁいい、明日の朝また聞きに来よう。そう思って自室に戻った。
その夜、隆永さまは行方をくらませた。



