言祝ぎの子 漆 ー国立神役修詞高等学校ー



「ちょ、待ってください隆永さま! ちゃんと説明してください!」


必死に声をかけたが反応はなく、中から結界を貼ったのか襖はビクとも動かない。

訳が分からず、ただ手のひらには任命書が握られている。

どうして急に私を権宮司に? そしてなぜ、宮司にしか引き継がれない社の秘密を私に明かしたんだ?

隆永さまのご様子もおかしかった。いや、あれが本来の隆永さまなのだけれど、だとしても変化が急すぎる。

胸騒ぎがする。私の勘は鋭い方ではないけれど、"何かが起きる"そんな気がする。


それ以上私と会話をするつもりは無いのか、隆永さまは頑なに襖を開けなかった。

まぁいい、明日の朝また聞きに来よう。そう思って自室に戻った。



その夜、隆永さまは行方をくらませた。