芽さまにとって審神者さまは、姉のように慕い母のように甘えられる存在だった。一度実の母を失い、悲しみに暮れるなかやっと見つけたそれと同等の存在。
そんな彼女をまた失ってしまったら芽さまは。
「いやぁ、マジで審神者万歳!って感じっすよね〜」
反射的に禰宜の胸ぐらを掴んでいた。
「……二度とそんなことを口にするな。人が一人亡くなっているんだぞ」
驚きの表情を浮かべた禰宜は言葉を忘れたように必死に頭を振って頷く。
カッとなっていたことに気づいて、ゆっくり手を離した。乱れた白衣を整えてやってポンと禰宜の胸を叩く。
「とにかく宮司にその件を報告しに行こう。休みの日に悪かったな」
「いやいや全然! 実家でぐうたらしてただけなんで、むしろ給料貰えてラッキーって感じっす」
彼の明るさに幾分か救われた。
隆永さまは今朝から本殿に籠られている。祈祷中に声をかけるのは良くないが、この報告の方が優先事項だろう。
「隆永さまに報告しに行こう。今なら本殿に────」
ガラリと社務所の扉を開けたその時。
まるで目の前でカメラのフラッシュが焚かれたように、視界の全てが強い光に飲み込まれた。目の奥を刺すような強い光に咄嗟に顔を背ける。
ひ、と息を吸い込んだ直後、時間差にして1秒もなかったはずだ、落雷のような激しい爆発音が鼓膜を震わし、足裏から脳天までに突き上げるような衝撃が走る。
わけも分からずその場に崩れ落ちた。



