「あはは、話が逸れちゃったけどそういう訳で狙われている巫寿を裏から守るのもいずれ限界がくるから、神職の目が届かない休みの間は一時的に保護しようってワケ。巫寿のためにも、周りの人間のためにもね」
その言葉にハッとする。
そうか、これは私のためだけじゃないんだ。
これまでのことを思い出す。この二年間何度も危険な目に遭ってきたのは私だけじゃない。クラスメイトや先輩たちもそうだ。私の周りにいた人たちも被害に遭っていた。
これは私だけじゃなく、私の周りの人達も守るための措置なんだ。
「分かりました。友達に連絡だけしていいですか?」
「連絡は自由に取ってくれて大丈夫。怖ァいお兄ちゃんの了承もちゃんと得てるから安心して。後でこっち来るって」
お兄ちゃんには伝えてあるんだ。
そりゃそうか。私が急に帰ってこなくなったらなったらお兄ちゃんは何をしでかすか分からない。
「窮屈だとは思うけど学校が始まるまでしばらく我慢して。話し相手には困らないと思うよ、ここにいる神職たちは逸話持ちが多いから。恵衣もいるしね」
恵衣くんに視線を向けると、ぶすっとした顔でそっぽを向く。
「……本庁の手伝いが最優先だ。俺が来るのは暇な時だけだからな」
「あはは、忙しいなら無理して来なくていいって言ってるじゃん。素直じゃないなぁ」
「うるさいッ────です!」
いつもクラスメイトに噛み付くような勢いで薫先生に反発し、苦虫を噛み潰したような顔で「です」を付け足した。
思わずぷぷっと吹き出す。



