「全ての建物を調べるんだ! 一人で動かず、巫女は禰宜以上の神職と行動!」
隆永さまの声を聞いた神職達が一斉に方々へ走り出す。
ご自身も本殿へ向かおうされたのか、踵を返したその背中を慌てて呼び止める。
「隆永宮司! お待ちください!」
「この緊急事態に何、端的に話して」
凄まれて息を飲むも、すぐさま芽さまが見当たらないことを伝える。いっそう険しい顔をした隆永さまは私と神職数名に離れへ向かうように指示を出す。
すぐさま離れへと駆け出した。
不躾とは承知しつつ、濡れ縁から幸さまのいるお部屋へ飛び込む。顔を青くした幸さまが部屋の真ん中で立ち尽くしていた。
「ま、真言さん……どうしよう!」
「落ち着いてください、お身体に触ります。隆永さまが今現状を確認しているので、幸さまは薫さまとこちらで待機していてください」
「違うの、薫がいないの! あの子九時頃に一人で寝るって部屋に戻って行って、でもさっき音がしたあと慌てて見に行ったら部屋にもトイレにもいなくて……ッ!」
必死に自分の着物を掴む幸さまに目を見開く。
まさか薫さまも、思わずそう漏らしてしまいハッと口を塞ぐ。
幸さまの目が見開かれる。
「真言さん、今のどういうこと? 薫もって、もしかして芽も母屋にいないの!?」
「あの、それは……ッ」
「答えてッ! 真言さん!」



